夏でもいちごが収穫できる
近未来の農業 LED水耕栽培

2018年2月、10平米の施設からLED水耕栽培をスタートしました。
まずはフリルレタスやバジルから。
当時まだ水耕栽培は今ほどメジャーではなく、手探りでのスタートです。
マニュアル通りに種まきした後、1か月後に初収穫に成功。

緑が美しく、野菜の味が濃く、LED光と水と液体肥料だけで育ちます。
順調に収穫量を増やすことができ、敷地内で経営する「焼きたてパン工房ゆたか」でサンドイッチやピザの材料として使用を開始しました。

LED水耕栽培の利点は
・害虫被害がないため、無農薬で栽培
・畑を耕すなどの、体力が不要
・室内栽培で気候に左右されないため、価格や収穫量が安定
・収穫時期がコントロールでき、管理者は休みを取ることが可能
・LEDの光を調整すれば、栄養強化
・誰でも簡単に栽培方法が習得できる
・消費地や店内で栽培すれば、輸送で発生するCO2が削減できる

真っ赤で繊細な果実「いちご」

野菜の栽培に成功し、2019月2月、試験的にいちご栽培を開始しました。

種植え(播種)、定植や株取り、花芽分化を経て、花が咲き手作業で受粉作業を行います。一茎に実が4~5個になるよう摘花、葉かぎも行い実が赤く大きくなると収穫時期。同年9月、ついに初収穫に成功。
真っ赤な美しい宝石のようないちご。30個ほど収穫出来ました。


悩む日々は長期にわたって

初収穫からは、次々と濃い緑色の大きな葉と茎が育ち、花が咲くまでは順調でした。しかし次第に種が多く、奇形。固くて小さい実ばかり。当初からいちごのLED水耕栽培は難しいと言われ、原因を突き止めようと、試行錯誤する日々が続きます。


考えられる理由は「受粉」?

弊社は人工的に授粉を行っていました。時期は開花3~4日後、毛の細い筆でおしべとめしべに触れます。しかし、小さい施設ですが、管理者1人で栽培しているためどの花が受粉に適した時期なのか特定が困難。さらに冬場は、弊社の施設の構造上、結露が起き、花粉が水分を含み、塊になり上手く受粉できません。
助言を頂き、約1年間人工授粉で生育させ何とか実を付けていましたが初収穫時のような大きくて美しいいちごは実らなくなりました。

救世主 「無菌ハエ・ビーフライ」

悩む日々が続き、ある時ビーフライ(医療用無菌バエ)の存在を思い出しました。
以前は医療用として、やけどや糖尿病で壊死した部分などを治療する「マゴットセラピー」に活用されてきたハエの1種(ヒロズキンバエ)です。蜂に比べて蜂のように刺されることもなく、活動温度は10~35度。紫外線がなくても活動します。
ビーフライは2021年2月から使用を開始、見極めが難しい受粉工程はビーフライに託しました。ビーフライが活動し始めてから、次第に変形した実が減り、サイズは大きくはありませんが、赤く綺麗な形をしたいちごが増え始めたのです。

増産を目指し、施設を増設

最初にいちごの種を植えてから、2年―。

2021年3月、弊社で一番小さいLED水耕栽培施設で新しくいちごの種を植えました。同年7月、いちご専用の施設が完成。40平米の密室の施設に最大700株を植える事ができる3列の4段棚を設け、二酸化炭素濃度計測計などの最新設備を整えました。
7月下旬、大きく育ったいちごの苗、約50本ほど移植。ビーフライに受粉を任せ、摘果や葉かぎを行い収穫時期を待ちます。

日本の未来の農業に

8月下旬、赤く綺麗な大きいLEDいちごが実りました。
約2年間、試行錯誤しながら栽培してきたノウハウを最大限に生かし、夏でも収穫できるいちごのさらなる増産を目指しています。
天候に左右されず安定供給、無農薬で育てるLED水耕栽培。さらに自動化が進めば、きっと日本の未来に必要不可欠になると思います。


品種「よつぼし」
形は比較的整った円錐形で、香り良く、断面はかなりしっかりと赤い色。果芯の空洞はわずかに見られます。
三重県、香川県、千葉県、九州沖縄農業研究センター(農研機構)の4つの機関が2009~2012年までの4年間にわたり「共同育種による種子繁殖型イチゴ品種の開発と種苗供給体系の改革」という共同事業に取り組み研究開発した品種。